【読書】『思い通りに人を動かすヤバい話し方』「人を動かす」ことは、技術であり優しさでもある

を読んで

「思ったことをそのまま口に出すと嫌われます。思ってもない褒め言葉を口に出すと好かれます。」

この一文を読んだ瞬間、私は思わずハッとした。正直、昔の私は“正直さこそ誠実”だと思い込み、相手に気を遣うよりも「本音で向き合うことが大事だ」と信じていたタイプだった。ところが現実には、思ったように人が動いてくれず、誤解されたり、距離を置かれたりすることが多かった。そんな私にとって、本書の「洗脳=相手を自分の思う方向へ動かす技術」という定義は、まさに目からウロコだった。

著者のDr.ヒロ氏は、早稲田大学在学中にマルチ商法に勧誘され、6年間その世界でセールスと心理操作を徹底的に学び、トップセールスにまで上り詰めた人物だ。そこから一転して破産寸前まで落ち込み、YouTubeで“洗脳を解く”側として活動を始めたという異色の経歴を持つ。その過程で得た「人の心を動かす話し方」の本質を、心理学的に、そして現実的に解き明かしているのが本書だ。


■「話す前」が9割を決める

特に印象的だったのは、「うまい話し方は話す前に決まる」という一節だ。
メラビアンの法則に基づき、人の印象の9割は“言葉以外”――つまり視覚情報と聴覚情報で決まるという。どんなに上手いフレーズを準備しても、見た目や声、立ち居振る舞いが伴っていなければ、説得力は生まれない。

これは私にも痛いほど思い当たる。以前、セールス系の仕事をしていた頃、商品の知識には誰よりも自信があったのに、なぜか成約率が伸びなかった。ある時、上司に「話す内容より“姿勢と笑顔”を整えろ」と言われ、最初は半信半疑だったが、鏡の前で口角を上げる練習をし、声のトーンを一段明るくするよう心がけた。すると不思議なことに、話す前から相手の反応が変わったのだ。まさに“ポジショニングがすべて”という本書の教えを、実体験で痛感した瞬間だった。


■「媚を売る」は悪ではない

本書で特に好きな章は、第3章「相手に好かれる話し方」だ。
筆者は断言する――「最初に売るべきものは媚である」と。
この言葉を読んだとき、多くの人が抵抗を感じるかもしれない。かつての私もそうだった。媚を売るなんて、自分を下げるようで格好悪い。だがヒロ氏は言う。「媚とは、相手を喜ばせるための“おもてなし”である」と。

思い返すと、私が最も信頼を得られた上司は、いつもさりげなく人を褒める人だった。見た目よりも“内面”を褒めるのが上手で、「あなたのその気遣いがチームを明るくしてる」と言われた時には、純粋に嬉しかった。
本書にあるように、根も葉もないお世辞でも、相手の自尊心を満たすことができれば、それは立派なコミュニケーションの技術だ。むしろ相手のための“優しい嘘”なのだと思う。


■「聞く力」は最高の説得力になる

第5章の「聞き方の極意」も、私の中で大きな学びだった。
人の話を聞くときは、「世界一面白い話を聞いているつもりで聞く」。
この姿勢を実践してみると、たしかに会話の空気が変わる。相手が話している途中にうなずき、眉を上げ、感情をこめた相槌を打つ――たったそれだけで相手がどんどん話してくれる。以前の私は、“相手の話をどう返すか”ばかり考えていたが、今は「楽しそうに聞く」ことを意識している。結果として、相手が自然とこちらに好感を持ってくれることが増えた。

結局のところ、“人を動かす”とは、“自分に心を開いてもらうこと”なのだろう。
話す技術よりも、“聞く姿勢”が先に信頼を生み出す。これは仕事にもプライベートにも共通する真理だと感じる。


■心理効果は「悪用」ではなく「活用」

本書の終盤では、「ペーシング」「アンカリング」「リフレーミング」など、営業心理で使われる効果を紹介している。どれも使い方次第で、相手を操ることも、励ますこともできる。
例えば「リフレーミング」――視点を変えるだけで印象を変える技術。
私は以前、部下のミスに対して「なんでこんな初歩的なことを」と怒ってしまったことがある。だが本書を読んで以降は、「この経験でチームの仕組みを見直せるね」と言い換えるようにした。相手の表情がパッと明るくなり、前向きに動いてくれるようになった。まさに“言葉ひとつで人は変わる”という体験だった。


■人を動かすとは「相手を幸せにすること」

Dr.ヒロ氏は、かつて“洗脳する側”だった経験を経て、“洗脳を解く側”に回った。その彼が「思い通りに人を動かすヤバい話し方」と題した本で伝えたいのは、実は“支配”ではなく“理解”だと思う。
人は、自分の話を真剣に聞いてくれる人に動かされる。
自分を褒め、肯定してくれる人に心を開く。
そして、自分の価値を信じてくれる人の言葉を信じる。

そう考えると、「ヤバい話し方」とは決して危険な技ではない。
むしろ“人を幸せにする伝え方”なのだと思う。


■まとめ――「洗脳」ではなく「信頼構築」の技術として

この本を読み終えた今、私が感じるのは、**“人を動かすことは恐ろしいことではない”**ということだ。
それは、相手をコントロールする行為ではなく、相手の心を理解し、安心させ、前に進む手助けをするための技術だ。

結局、人は「論理」ではなく「感情」で動く。
だからこそ、言葉の裏にある“空気”“態度”“優しさ”が大切なのだ。

以前の私は、人にどう思われるかを恐れて本音を隠していた。だが今は、相手の自尊心を尊重しつつ、自分の意見を伝えることができるようになった。
それはこの本のおかげで、「話す=相手を動かす」という行為の本質を理解できたからだ。

『思い通りに人を動かすヤバい話し方』は、単なる話し方マニュアルではない。
“人間理解の教科書”であり、“信頼を築くための心理の指南書”だと思う。
誰かとの関係に悩んでいる人、もっと説得力を持ちたい人、自分を変えたいと思っている人――そんな人にこそ、この“ヤバいほど効く”一冊を手に取ってほしい。

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この記事を書いた人

3児の父であるイクメン一級建築士|二級建築士|宅建士|一級施工管理技士|第2種電気工事士|本業は図面屋|ブロガー|副業を目指してます|元現場監督でブラック社畜出身|みんなとつながりたい

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